1.はじめに

働き始めて、あるいはキャリアを重ねる中で、ふと立ち止まって「将来のお金」や「資産形成」について考えることはありませんか?
貯蓄はしているけれど、もっと賢く増やせないかな?
この疑問は、みな誰しもが抱える悩みですよね。
特に新社会人の方にとっては、お給料を手にし、初めて本格的にお金と向き合うこの時期は、将来の資産形成について考える絶好の機会です。
しかし、「投資」と聞くと、「なんだか難しそう」「リスクが怖い」と感じる方も少なくないでしょう。メディアでは耳にするけれど、一体何から始めたらいいのか、何が正解なのか、戸惑ってしまうかもしれません。
今回の記事では、そんな皆さんの不安を解消し、無理なく、そして安心して投資を始めるための具体的なステップを丁寧にご紹介していきます。投資経験が全くない方から、少し興味はあるけれど踏み出せない方まで、きっと役立つ情報が満載です。
管理人である私も、最初は皆さんと全く同じ気持ちでした。でも、正しい知識と、ご自身のライフスタイルに合った無理のない戦略があれば、投資はあなたの未来を豊かにする強力な味方になります。
一緒に賢いお金の増やし方、始めてみませんか?
2.投資って何?ゼロから学ぶ投資の基本
皆さんは「投資」と聞いて、どんなイメージを抱きますか? 「株」「FX」「大金持ちがすること」「リスクが高い」といった言葉が頭に浮かぶかもしれませんね。
テレビやニュースで見るような、ちょっと専門的で、自分には関係のない世界だと思っている方もいるのではないでしょうか。
でも安心してください。実は、投資は決して一部の特別な人だけのものではありません。むしろ、私たち一人ひとりの暮らしを豊かにし、将来の選択肢を広げるための、非常に身近な手段なんです。
この章では、「投資ってそもそも何?」という根本的な疑問から、投資の基本をゼロから丁寧に解説していきます。専門用語はできるだけかみ砕いて、分かりやすくお伝えするのでご安心ください。
まずは、投資が私たちにとってどんな意味を持つのか、その全体像を一緒に見ていきましょう。
2-1. 投資と貯蓄の違い
まず最初に、多くの方が混同しがちな「貯蓄」と「投資」の違いについて、明確にしておきましょう。どちらも将来のためにお金を準備する行為ですが、その目的と性質には大きな違いがあります。
貯蓄とは?

皆さんが銀行預金にお金を預ける行為、これがまさに貯蓄です。お給料の一部を貯金したり、使う予定のないお金を銀行に置いておくことですね。
メリットとデメリットも見ていきましょう。
- メリット: 元本(預けたお金)が保証されているため、お金が減るリスクがほとんどありません。いつでも引き出すことができ、必要な時にすぐに使える流動性が高いのも特徴です。
- デメリット: 現在の日本の銀行預金の金利は非常に低いため、残念ながらお金がほとんど増えません。また、物価が上昇する「インフレ」が起こると、お金の価値が相対的に目減りしてしまうリスクもあります。(例えば、今100円で買えるものが将来200円になった場合、100円の価値は半分になってしまう、というイメージ)
投資とは?

一方、投資は、将来的に資産を増やすことを目指して、自分のお金を企業や金融商品に投じることです。預貯金とは異なり、元本が保証されているわけではありませんが、その分、お金が増える可能性を秘めています。
こちらも同様にメリットとデメリットを見ていきましょう。
- メリット: 成功すれば、お金を大きく増やせる可能性があります。特に、企業の成長や社会全体の発展の恩恵を受けられることが大きな魅力です。インフレにも比較的強いとされています。
- デメリット: 価格が変動するため、元本割れ(預けたお金より減ってしまうこと)のリスクがあります。投資にはリスクが伴うことを理解しておく必要があります。
目的と役割を理解しよう
簡単にまとめると、貯蓄は「必要な時に使えるようにお金を確保しておくこと」、投資は「余ったお金に働いてもらって、将来のためにお金を増やすこと」と言えます。
どちらか一方だけが良い、というわけではありません。私たちの将来の生活を豊かにするためには、この貯蓄と投資のバランスをうまく取ることが非常に重要になってきます。特に、新社会人の方にとっては、若いうちから少額でも投資を始めることで、時間という最大の味方を活用できるメリットがありますよ。
2-2. 投資のメリット・デメリット
前の章では、貯蓄との比較を通して投資の基本的な違いを理解していただきました。ここでは、投資そのものが持つ具体的なメリットと、注意すべきデメリットについて、さらに詳しく見ていきましょう。これを理解することが、投資を始める上での第一歩となります。
投資のメリット
投資には、主に以下の大きなメリットがあります。
- お金が増える可能性がある(資産形成の加速): 貯蓄ではなかなか増えないお金を、投資では効率的に増やすことができる可能性があります。企業に投資をすれば、その企業の成長と共に資産が増えたり、配当金(企業の利益の一部)を受け取ったりすることができます。長期的に見れば、少額からでも大きな資産を築ける可能性があるのが最大の魅力です。特に、新社会人のように若いうちから始めれば、複利の力を最大限に活用できます。
- インフレに強い: 銀行預金にただ置いておくだけでは、お金の『量』は変わらなくても、『価値』は目減りしてしまいます。しかし、投資は企業の成長や資産の価格上昇を通じて、このインフレによるお金の価値の目減りを防ぎ、むしろ資産を増やせる可能性があります。
- 経済や社会の動きに詳しくなる: 投資を始めると、自然と経済や社会のニュースに興味が湧き、世の中の仕組みについて詳しくなります。これは、お金を増やすためだけでなく、広い視野を養う上でも非常に価値のあることです。
投資のデメリット(リスク)
次に、投資を始める前に必ず理解しておきたいデメリット、つまり「リスク」についてです。
- 元本割れのリスクがある 投資には、預けたお金(元本)が減ってしまう可能性があります。株式の価格は企業の業績や経済状況によって変動しますし、投資信託などの金融商品も価値が上下します。しかし、このリスクは、投資の種類や分散投資、長期投資といった工夫で軽減することができます。
- すぐに現金化できない場合がある 預貯金のように、いつでも好きな時にすぐに全額引き出せるわけではない場合があります。投資している商品によっては、売却手続きに時間がかかったり、相場の状況によっては希望する価格で売却できなかったりすることもあります。そのため、生活に必要な資金(生活防衛資金については後述します)とは別に、余裕資金で投資を始めることが非常に重要です。
メリットとデメリット、両方をしっかり理解した上で、ご自身の目的に合わせて投資を始めることが大切です。次の章では、具体的な投資の種類についてご紹介します。
2-3. 投資の種類を知ろう
さて、投資にメリット・デメリットがあることが分かったところで、「じゃあ、具体的にどんなものに投資するの?」という疑問が湧いてくるかと思います。投資と一口に言っても、その種類はたくさんあります。
ここでは、皆さんが投資を始める上で知っておきたい、代表的な投資の種類をいくつかご紹介します。
1. 株式投資
最も一般的で、皆さんも耳にしたことがあるのではないでしょうか。これは、企業の株を購入し、その企業の一部を所有することです。
企業が成長して業績を伸ばせば、株価が上がって利益を得られますし、企業によっては利益の一部を配当金として受け取ったり、株主優待(自社製品や割引券など)をもらえたりすることもあります。
- 個別企業の成長に投資したい方
- 企業の動向や経済ニュースをチェックするのが好きな方
- 大きなリターンも視野に入れたい方
株式投資のメリットとデメリットはそれぞれ以下の通りです。
株式投資のメリット
- 大きなリターンが期待できる: 株式投資の最大の魅力は、企業の成長と共に、投資したお金が大きく増える可能性があることです。例えば、あなたが投資した企業が革新的な製品やサービスを生み出し、業績が大きく伸びたとします。その結果、その企業の株価が何倍にも上昇し、あなたの資産もそれに伴って大きく増える可能性があります。預貯金では考えられないようなリターンを狙える点が、株式投資の醍醐味と言えるでしょう。特に、成長性の高い企業に若いうちから少額でも投資しておけば、将来的に大きな資産を築ける可能性も秘めています。
- 配当金や株主優待を受け取れる: 企業によっては、利益の一部を株主に還元する配当金を支払ったり、自社製品やサービスなどの株主優待を提供したりすることがあります。これらは、株価の変動とは別に得られる利益であり、投資を続けるモチベーションにもなります。たとえば、お気に入りの飲食店の株主優待券をもらえたり、毎年現金で配当金を受け取れたりするのも、株式投資ならではの楽しみです。
株式投資のデメリット
- 元本割れのリスクがある: 株式の価格は、企業の業績、景気、政治情勢、世界経済の動向など、さまざまな要因によって日々変動します。購入時よりも株価が下落すれば、売却する際に投資したお金(元本)よりも少ない金額しか戻ってこない「元本割れ」が発生する可能性があります。最悪の場合、投資した企業が倒産すれば、株の価値がゼロになることもあり得ます。
- 銘柄選びが難しい: 日本だけでも数千もの企業が株式を上場しており、どの企業の株を買えばいいのか初心者にとっては判断が難しいものです。企業の財務状況や将来性、業界の動向などを自分で調べて分析する手間と知識が必要になります。情報収集を怠ったり、安易な情報に飛びついたりすると、思わぬ損失を招く可能性もあります。
- 短期間での売買には専門知識と時間が必要: デイトレードのような短期間で売買を繰り返して利益を得ようとする投資手法は、高度な知識と経験、そして常に市場を監視する時間が必要になります。価格の変動が激しいため、大きな利益を狙える反面、あっという間に大きな損失を出すリスクも高まります。特に新社会人の皆さんは、本業の傍らで短期間の売買に集中するのは非常に困難であり、精神的な負担も大きいため、まずは長期的な視点での投資から始めることを強くおすすめします。
2. 投資信託
投資信託は、多くの投資家から集めたお金を、運用のプロが株式や債券など様々な金融商品に分散して投資・運用してくれる商品です。
少額から始められ、プロに運用を任せられるため、投資の知識があまりない方でも始めやすいのが大きな特徴です。
- 投資の専門知識があまりない初心者の方や、新社会人の方
- 少額から手軽に始めたい方(多くの商品が月100円から投資可能!)
- リスクを分散して、堅実に資産形成したい方
- 自分で銘柄を選ぶ時間がない方
投資信託のメリットとデメリットはそれぞれ以下の通りです。
株式投資のメリット
- プロに運用を任せられる: 投資の専門知識がなくても、運用のプロ(ファンドマネージャー)が投資家から集めたお金を代わりに運用してくれます。忙しい方でも安心して始められます。
- 少額から始められる: 月々100円や1,000円といった少額から投資を始めることができる商品が多く、特に新社会人の方でも無理なく投資をスタートできます。
- 分散投資でリスクを軽減できる: 一つの商品に集中投資するのではなく、国内外の様々な株式、債券、不動産などに幅広く分散して投資するため、リスクを抑える効果が期待できます。
- 様々な資産に投資できる: 個人では投資が難しい海外の株式や不動産などにも、投資信託を通じて手軽に投資の幅を広げることができます。
株式投資のデメリット
- 手数料がかかる: 運用のプロに任せるため、「信託報酬」という手数料が日々資産から差し引かれます。購入時や解約時に手数料がかかる場合もあります。手数料率が低い商品を選ぶことが重要です。
- 元本割れのリスクがある: 預貯金とは異なり、投資信託も投資商品であるため、運用状況によっては、投資したお金(元本)が減ってしまう可能性があります。
- 商品の選択に迷う可能性がある:非常に多くの種類の投資信託があるため、どれを選べばいいか迷ってしまうかもしれません。ご自身の投資目標に合った商品を見つけるための情報収集は必要です。
3. 債券投資
国や企業が、資金を借り入れるために発行する債券を購入する投資です。投資家は、債券の購入を通じて国や企業にお金を貸し、その対価として定期的に利子を受け取ります。そして、満期が来れば元本(貸したお金)が全額返済されます。
債券投資は、株式に比べて価格変動が穏やかな傾向があります。
- 比較的安定した運用を目指したい方
- 株式投資よりもリスクを抑えたい方
- 定期的な収入(利子)を期待したい方
債権投資のメリットとデメリットはそれぞれ以下の通りです。
債権投資のメリット
- 比較的リスクが低い傾向がある: 株式投資に比べて、価格の変動が穏やかで、比較的安定した運用が期待できます。元本が保証されているわけではありませんが、国や企業の信用度が高ければ、満期には元本が返ってくるのが基本です。
- 定期的な利子収入が期待できる: 債券を保有している間は、定期的に「利子」(金利)を受け取ることができます。これは、家賃収入のように安定した収入源となる可能性があります。
- 満期が来れば元本が返済される(一部を除く): 多くの場合、あらかじめ決められた満期日には、投資したお金(元本)が戻ってきます。株式のように、売却しない限り利益確定ができないということがありません。
- 種類が豊富で選びやすい: 国が発行する「国債」や企業が発行する「社債」など、様々な種類があり、信用度や金利、満期までの期間など、自分の目的に合わせて選びやすいのも特徴です。
債権投資のデメリット
- リターンが株式投資より低い傾向がある: 安定性が高い分、株式投資のように大きなリターンを期待することは難しいです。金利が低い時期は、得られる利子収入も少なくなります。
- 途中で売却すると元本割れのリスクがある: 満期まで保有すれば元本が返済されますが、市場金利の変動などによって債券の価格は日々変動します。もし満期前に途中で売却する場合、購入時よりも価格が下がっていれば、元本割れとなる可能性があります。
- 発行体のデフォルト(債務不履行)リスク: 債券を発行した国や企業が財政難に陥ったり、倒産したりするなどの理由で、利子が支払われなくなったり、元本が返済されなくなったりするリスク(デフォルトリスク)がゼロではありません。
4. 不動産投資
マンションやアパートなどの実物不動産を購入し、それを賃貸に出して家賃収入を得たり、不動産価格が上昇した際に売却して利益を得たりする投資です。
直接不動産を購入する以外に、J-REIT(不動産投資信託)という、不動産に投資する投資信託を通じて少額から不動産に投資する方法もあります。
- 安定した家賃収入に魅力を感じる方
- 現物資産に投資したい方
- インフレ対策を重視する方(J-REITであれば少額から可能)
投資信託のメリットとデメリットはそれぞれ以下の通りです。
不動産投資のメリット
- インフレに強い現物資産: 不動産は土地や建物といった現物資産であるため、物価が上昇するインフレ時にも価値が保たれやすい(あるいは上昇しやすい)とされています。お金の価値が目減りする中で、実物資産としてインフレ対策になる点が大きな魅力です。
- 安定した収益源が期待できる: 不動産を保有することで、家賃収入や分配金など、定期的な収益が期待できます。これは、他の投資と比べて比較的安定したキャッシュフローを生み出す可能性があり、長期的な資産形成において重要な要素となります。
- 多様なアプローチが可能: 直接物件を購入する現物不動産投資から、少額でプロに任せられるJ-REITまで、様々な投資方法があります。ご自身の資金状況や投資にかけられる時間に合わせて、選択肢を検討できます。
不動産投資のデメリット
- 価格変動リスクがある: 不動産(またはJ-REITの価格)は、景気動向、金利、人口動態、災害など、様々な要因によって変動します。そのため、投資した時よりも価格が下がるkとで元本割れする可能性があります。
- 流動性が低い場合がある: 特に現物不動産の場合、株式や投資信託のように、売却したいときにすぐに売却できるわけではありません。買い手が見つかるまでに時間がかかったり、相場によっては希望する価格で売却できなかったりする可能性があります。J-REITは比較的流動性が高いですが、市場の状況によっては売買がしにくいこともあります。
- 金利上昇リスクがある: 不動産投資はローンを利用することが多く、金利が上昇すると返済負担が増え、収益を圧迫する可能性があります。また、J-REITも借入を利用しているため、金利上昇は運用に影響を与える要因となります。
5. その他の投資
FX(外国為替証拠金取引)や金・原油などのコモディティ(商品)投資、暗号資産(仮想通貨)など、他にも様々な投資がありますが、これらは価格変動が大きかったり、専門的な知識が必要だったりするため、投資初心者の方にはあまりおすすめできません。まずは、上記で紹介したような、比較的安定しているものやリスクを分散しやすいものから検討するのが良いでしょう。
これらの投資の種類を知っておくことで、ご自身がどのような投資を目指すのか、少しずつイメージが湧いてきたのではないでしょうか。次の章では、投資を始める前に知っておくべき、非課税制度について解説していきます。
2-4. 投資を始める前に知っておきたいこと(NISA、iDeCoなどの非課税制度)
ここまでで、投資の種類やそれぞれの特徴について理解が深まったのではないでしょうか。
次に、具体的な投資を始める前に、ぜひとも皆さんに知っておいてほしい、非常に重要な制度があります。それが、NISA(ニーサ)とiDeCo(イデコ)といった非課税制度です。
「税金」と聞くと、ちょっと難しく感じるかもしれませんが、これは投資で得た利益にかかる税金が「ゼロ」になる、つまり国が皆さんの資産形成を応援してくれる、非常にお得な仕組みなんです。
通常、投資で利益が出ると、その利益に対して約20%の税金がかかります。例えば、10万円の利益が出たら、2万円は税金で引かれてしまう、ということですね。しかし、NISAやiDeCoを活用すれば、この税金が丸々かからないため、その分、効率的にお金を増やすことができるのです。
特に、新社会人の方にとっては、少額からでも長期で投資を続けていく上で、この非課税メリットは計り知れないほど大きな効果を発揮します。将来の資産を大きく左右すると言っても過言ではありません。
それではこれから、NISAとiDeCoの概要を見ていきましょう。
NISA(少額投資非課税制度)とは?
NISAは、国が国民の資産形成を後押しするために作った、投資の利益に税金がかからない、とてもお得な制度です。2024年1月からは、NISA制度が大きくパワーアップし、「新NISA」として生まれ変わりました。
口座開設年の1月1日時点で18歳以上である日本国内に居住する個人ならば、だれでも利用することができます!
この新しいNISAこそ、新社会人の皆さんがまず最初に活用を検討すべき、最優先の制度と言っても過言ではありません。
新NISAのポイント
新NISAには、つみたて成長枠と、成長投資枠の、2つの投資枠があります。
またこれらは併用することが可能です!
- 特徴: 毎月決まった金額をコツコツと積み立てる、長期・積立・分散投資に適した投資信託などに投資できます。
- 年間投資枠: 年間120万円まで
- 非課税保有限度額: 生涯で1800万円まで(成長投資枠と合算)
- 特徴: 個別株や投資信託など、比較的幅広い商品に投資できます。一括投資も可能です。
- 年間投資枠: 年間240万円まで
- 非課税保有限度額: 生涯で1800万円まで(つみたて投資枠と合算)
これらの枠は併用することができ、合計で年間最大360万円、生涯で1800万円まで非課税で投資が可能です。そして、非課税で保有できる期間は無期限になりました。これは、過去のNISA制度にはなかった非常に大きなメリットです。
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは?
NISAと並んで、皆さんにぜひ知ってほしいもう一つの非課税制度がiDeCoです。自分で掛金(積立金)を拠出し、自分で運用する私的年金制度として施行され、将来のための資産形成、特に老後資金の準備に特化した制度として設計されています。
NISAとの大きな違いは、「老後資金」を目的としているため、原則として60歳まで引き出すことができないという点です。しかし、その分、NISAにはない、非常に強力な税制優遇措置が3つもあります。
iDeCoの3つの税制メリット
- 掛金が全額所得控除の対象: iDeCoに拠出した掛金は、全額が所得控除の対象となり、所得税や住民税が安くなります。例えば、毎月2万円(年間24万円)iDeCoに拠出すると、年収や他の控除にもよりますが、年間数万円単位で税金が軽減されることがあります。これは、投資で利益が出る前から税金が安くなるという、非常に大きなメリットです。
- 運用益が非課税: NISAと同様に、iDeCoで投資した商品から得られた利益(運用益)には、税金がかかりません。通常約20%かかる税金がゼロになるため、効率的に資産を増やすことができます。
- 受取時にも税制優遇: 原則60歳以降で運用資産を受け取る際にも、「退職所得控除」や「公的年金等控除」といった税制上の優遇措置が適用されます。これも、NISAにはないiDeCoならではの大きなメリットです。
一方で、iDeCoにはこんな注意点もあります。
iDeCoの注意点
- 原則60歳まで引き出せない: これがiDeCoの最大の注意点です。途中でまとまったお金が必要になっても、原則として60歳まで引き出すことはできません。そのため、iDeCoは当面使う予定のない、老後資金として確実に貯めておきたいお金で始めるのが適しています。
- 掛金に上限がある: 加入者の職業(会社員、公務員、自営業など)によって、毎月拠出できる掛金の上限が異なります。新社会人の皆さんの多くは会社員(企業年金がない場合)になるかと思いますが、その場合は月額23,000円(年間276,000円)が上限となります。
このような利点と欠点を踏まえて、iDeCoの運用を開始するかどうかを考えてみてくださいね。
3.新社会人におすすめ!無理なく始めるための準備

ここまで読んでいただいて、投資の基本的な考え方や、NISA・iDeCoといったお得な制度について理解が深まったかと思います。
いよいよ「さあ、投資を始めよう!」と意気込んでいる方もいるかもしれませんね。しかし、ちょっと待ってください! 投資は、やみくもに始めるものではありません。
長期的に、そして安心して投資を続けるためには、事前にいくつかの準備を整えておくことが非常に重要です。
この章では、特に新社会人の皆さんが無理なく、そして安心して投資を始めるための具体的な準備ステップを解説していきます。
投資はあくまで「余裕資金」で行うのが鉄則です。この準備を怠ってしまうと、いざという時に困ったり、不安を感じて投資を続けられなくなったりする可能性があります。
安心して資産形成の第一歩を踏み出すために、まずは皆さんのお金の基礎体力をしっかり整えていきましょう
3-1. まずは「生活防衛資金」を確保しよう
投資を始める前に、何よりも優先して準備してほしいのが、生活防衛資金です。
これは、病気やケガで急に働けなくなったり、会社を辞めざるを得なくなったり、あるいは予期せぬ大きな出費が必要になったり…といった、もしもの時にあなたの生活を守るための「備え」となるお金のことです。
なぜ生活防衛資金が必要なの?
投資は、残念ながら常に順調に増えていくわけではありません。時には、市場の変動で一時的に資産が減ってしまうこともあります。そんな時に、手元に十分な生活費がないとどうなるでしょうか?
- 投資している資産を、値下がりしている状態で売却しなければならなくなる
- 急な出入りで生活が困窮してしまう
- 精神的なプレッシャーから、冷静な判断ができなくなり、誤った投資行動をとってしまう
このような事態に陥りかねません。特に、新社会人の皆さんは、これから独立して生活していく中で、予期せぬ出来事に見舞われる可能性もゼロではありません。投資でせっかく増やしたお金を、やむを得ず減らしてしまうような事態は避けたいですよね。
生活防衛資金をしっかりと確保しておくことで、「いざという時でも、このお金があるから大丈夫」という安心感が生まれ、それが結果的に、心の余裕を持って投資を続ける原動力になります。
いくら貯めればいいの?
生活防衛資金としていくら貯めるべきかは、個人の状況によって異なりますが、一般的には生活費の3ヶ月分〜半年分が目安とされています。
- 一人暮らしの場合: 毎月の生活費が15万円なら、45万円〜90万円
- 実家暮らしで支出が少ない場合: 月々の負担に応じて調整
まずは、ご自身の毎月の生活費がいくらかを把握することから始めてみましょう。そして、この生活防衛資金は、いつでもすぐに引き出せるよう、銀行の普通預金やネット銀行の普通預金など、安全性の高い場所に置いておくのが鉄則です。投資に回すお金とは明確に分けて管理しましょう。
生活防衛資金が確保できてはじめて、安心して次のステップ、つまり投資へと進むことができますよ。
3-2. 投資目標と期間を具体的に考える
次のステップは「投資目標と期間を具体的に考える」ことです。
これは、投資を始める上で非常に重要な羅針盤になります。「なんとなくお金を増やしたい」という漠然とした考えでは、途中で迷子になったり、相場の変動に一喜一憂して誤った判断をしてしまったりする原因になります。
なぜ投資目標と期間を明確にする必要があるの?
明確な目標と期間を設定することで、以下のようなメリットがあります。
- 自分に合った投資方法を選べる: 目標が「1年後に海外旅行に行く資金10万円を貯める」のか、「20年後に老後資金として3,000万円を準備する」のかによって、選ぶべき投資商品は全く異なります。短期的な目標ならリスクを抑えたものを、長期的な目標なら多少リスクがあっても高いリターンを狙えるものを検討できます。
- モチベーションを維持できる: 「何のために投資をしているのか」が明確であれば、一時的に相場が下がっても、「これは〇〇のための投資だから、今は我慢して続ける」と、冷静に判断しやすくなります。目標があることで、投資を長く続けるモチベーションにもつながります。
- 計画的に行動できる: 目標額と期間が決まれば、「毎月いくら積立投資すればいいか」や、「何年でどれくらいのペースで増やす必要があるか」といった具体的な計画を立てやすくなります。
具体的な目標設定の例
皆さんにとって投資の目標は多岐にわたると思いますが、その一例としては、以下のような目標が考えられます。
- 短期〜中期目標(〜5年程度):
- 3年後に海外旅行に行くための資金20万円
- 5年後に車を購入するための頭金50万円
- 結婚資金の一部として100万円
- 長期目標(5年〜、特に10年、20年以上):
- 老後資金として3,000万円
- マイホーム購入の頭金
- 子どもの教育資金
目標達成のためのシミュレーション
目標額と期間が決まったら、「毎月いくら積み立てれば目標に到達できるか」をざっくりとシミュレーションしてみると良いでしょう。
例えば、「20年後に300万円を貯めたい」という目標があったとします。
- 年利3%で運用できると仮定した場合、毎月約9,000円の積立で達成可能
- 年利5%なら、毎月約7,300円の積立で達成可能
このように具体的な数字を見ることで、現実的な計画が立てやすくなります。インターネット上には無料で使える積立シミュレーターもたくさんあるので、ぜひ活用してみてください。
「いつまでに、いくら貯めたいのか」を具体的に答えることが、あなたの投資計画を成功させるための重要な第一歩です。次のステップでは、いよいよ投資を始めるための口座開設についてお話ししますね。
3-3. 証券口座を開設しよう

いよいよ投資を始めるための最終ステップです。ここからは、証券口座の開設に進んでいきます。
投資は、銀行口座があるだけではできません。株や投資信託などを売買するためには、それらを専門的に取り扱う「証券会社」で口座を開設する必要があるんです。
なぜ証券口座が必要なの?
証券口座は、あなたが投資したい株や投資信託などを購入・管理するための専用のお財布のようなものです。銀行口座から証券口座にお金を移して、そこから実際に投資商品を購入します。
「証券会社ってたくさんあるけど、どこがいいの?」と迷うかもしれませんが、最近では手数料が安く、スマートフォン一つで手軽に口座開設から取引までできる「ネット証券」が主流です。特に、新社会人の皆さんには、店舗に行く手間がなく、自宅で簡単に手続きが完結するネット証券が断然おすすめです。
証券口座開設のポイント
ネット証券を選ぶ際の主なポイントは以下の通りです。
- 手数料の安さ: 株や投資信託の取引手数料、口座管理手数料などを比較しましょう。今は手数料無料のサービスも増えています。
- 取扱商品の豊富さ: NISAやiDeCoに対応しているか、投資したい商品(個別株、投資信託など)が充実しているかを確認しましょう。
- ツールの使いやすさ: 取引画面やスマホアプリが直感的で、初心者でも使いやすいかどうかも重要です。
- 情報コンテンツの充実度: 投資初心者向けの学習コンテンツや、市場分析ツールが充実しているかもチェックポイントです。
国内の主要なネット証券会社としては、SBI証券や楽天証券、マネックス証券やDmm.com証券などが代表的で、いずれもNISA口座の開設に対応しており、非常に使いやすいと評判です。これらの証券会社であれば、安心して投資を始めることができるでしょう。
口座開設の手順
口座開設の手続きは、以下の流れで進みます。
- 1証券会社のウェブサイトから申し込み:
氏名、住所などの口座の利用に必要な個人情報を入力します。
- 2本人確認書類とマイナンバー確認書類の提出:
スマートフォンで撮影してアップロードしたり、郵送したりする方法があります。
- ラベル審査・口座開設完了:
通常、数日〜1週間程度で審査が完了し、IDやパスワードが郵送またはメールで届きます。
これで、あなたの投資の準備は万端です!
次の記事では、いよいよ具体的な投資戦略について深掘りしていきます。特に新社会人の皆さんに合った、無理なく続けられる具体的な方法をお伝えしていこうと思います!
【ワンポイントアドバイス】Dmm.com証券で投資をはじめてみませんか?
投資の準備が整い、いよいよ証券会社選びですね。数ある証券会社の中からどれを選べばいいか迷ってしまう方もいるかもしれません。
そこで、ワンポイントアドバイスとしてご紹介したいのがDmm.com証券です。
DMM.com証券は、業界最安水準の手数料(※)やシンプルで使いやすい取引ツールが魅力のネット証券です。特に、投資デビューを考えている新社会人の皆さんにとっては、手軽に始められる環境が整っています。
- 取引手数料が安いから、少額からでもコストを抑えて取引できます。
- スマホアプリが直感的で分かりやすいので、忙しい日常の中でも気軽に投資状況をチェックできます。
- 24時間対応のLINEサポートなど、もしもの時も安心して相談できる体制が整っています。
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4.まとめ
今回の記事で、投資の全体像と始めるための準備は整いましたね。
しかし、肝心の「じゃあ、具体的にどんな商品を選んで、どうやって積立投資を始めたらいいの?」という疑問が残っているかもしれません。
ご安心ください! 次回の記事では、いよいよ管理人である私も実践中の、新社会人におすすめの具体的な投資戦略に踏み込んでいきます。つみたてNISAの具体的な活用法や商品の選び方、そして少額から始めるための具体的なステップまで、さらに詳しく解説します。
この記事を読んで、少しでも投資へのハードルが下がり、「自分も始めてみようかな」と思っていただけたら嬉しいです。ぜひ、次回の記事も楽しみにしていてくださいね!