1.はじめに
投資に興味を持ち、「つみたてNISAを始めてみようかな」「資産形成って必要なのかも」と感じる人が増えています。特に20代・30代の新社会人にとって、将来への備えを早めに始めることはとても大切です。
でも、こんな不安もあるのではないでしょうか?
- どんな商品を選べばいいのか分からない
- 株や投資信託って難しそう
- 間違った選択をして損をしないか心配
そんな方に向けて、この記事では「これだけ知っていれば安心してスタートできる」という基本的な考え方や商品選びのポイントをわかりやすく解説します。
特に今回は、「ポートフォリオ(資産の組み合わせ)の考え方」や「積立投資のやり方(ドルコスト平均法)」、「初心者でも安心して選べる投資信託(全世界株式など)」に絞ってお伝えします。
無理に知識を詰め込む必要はありません。
大切なのは「難しく考えず、長く続けられる仕組みを作ること」。
一緒に、ムリなく、でも着実にお金を育てていく方法を学んでいきましょう。
2.【初心者でも簡単】シンプルなポートフォリオの組み方

投資で失敗しないために、大切な考え方があります。
それが「ポートフォリオ」──つまり、どんな資産に、どれだけの割合で投資するかという資産の組み合わせです。
「なんとなく気になる投資信託を買ってみた」「流行っている銘柄にだけ投資している」そんな状態では、相場が下がったときに不安になって、すぐに売ってしまうかもしれません。
ポートフォリオを意識することで、自分の投資を“設計”することができ、ブレずに続けられる軸ができます。これは初心者にこそ大切な視点です。
この章では、初心者にもわかりやすく、無理なくできるポートフォリオの考え方を紹介していきます。
まずは「ポートフォリオって何?」というところから見ていきましょう。
2-1. ポートフォリオってなに?初心者にも必要な理由
「ポートフォリオ」とは、投資における資産の組み合わせのことを指します。たとえば「全体の70%を株式に、30%を債券に投資する」といったように、どの資産に、どれだけ配分するかを決める設計図のようなものです。
投資というと「どの商品を買うか」に注目しがちですが、実はこの資産配分(アセット・アロケーション)こそが投資成果の大部分を左右するとも言われています。
なぜ初心者にもポートフォリオが必要なのか?
投資を始めたばかりの人ほど、値動きに振り回されやすくなります。
たとえば株式100%のようにリスクの高い配分にすると、相場が下落したときに大きな損失を抱え、不安で売ってしまうことも…。
そこで「自分に合ったリスクの範囲内で投資を続ける」ために、ポートフォリオの考え方が重要になります。
株式でリターンを狙いつつも、債券や現金でクッションを作るといったバランス作りが、投資を長く続けるための土台になるのです。
またポートフォリオを組むことで、ひとつの資産が下がっても、別の資産がカバーしてくれる可能性があります。たとえば、株価が下がっても債券が値上がりするケースもあるように、資産同士の値動きが異なることがリスク分散のカギです。
「攻め」と「守り」をバランスよく組み合わせることが、投資初心者にとって最大のリスク対策と言えるでしょう。
次は、具体的にどんな資産をどう組み合わせればいいのか、シンプルな考え方を見ていきましょう。
2-2.シンプルな資産配分の考え方(株式・債券・現金)
ポートフォリオを考えるとき、まずは「どんな種類の資産をどれだけ持つか」を決める必要があります。これを資産配分(アセット・アロケーション)と呼びます。
とはいえ、難しい知識や複雑な計算は不要です。初心者の方はまず、以下のような3つの基本資産を覚えておきましょう。
- 株式(国内株・外国株)
- リターンは高いが値動きが大きい「攻めの資産」
- 中長期的には、企業の成長や経済の拡大とともに値上がりを期待できるが、短期的には大きく上下することもある
- 期待リターン:高い
- リスク(値動きの大きさ):高い
- 債券(国内債券・外国債券)
- 安定した利回りを狙える「守りの資産」
- 国や企業にお金を貸す形で投資し、利息(利子)を受け取る資産
- 値動きが比較的小さく、株価が下がっているときに安定感を発揮することも
- 期待リターン:中〜低
- リスク:低め
- 現金・預金
- いつでも引き出せる「安全資産」
- リスクはほぼゼロ、しかし金利が低いため大きな増加は見込めない
- 生活防衛資金や急な出費に備えて、ある程度は持っておくことが大切
- 期待リターン:ほぼなし
- リスク:ほぼなし
初心者向けのシンプルな配分例
最初はあまり難しく考えず、以下のようなざっくりとした配分でも十分です。
- リスクを抑えたい人
株式50%、債券30%、現金20% - 標準的なバランス型
株式70%、債券20%、現金10% - 長期的に成長を狙いたい人(特に、20代〜30代におすすめ)
株式90%、現金10%
これをベースにして、自分の年齢・性格・目的に合わせて調整していきましょう。
「でもどんな銘柄に投資したらいいかわからないよ?」
そんな疑問を感じた方は、次のパートでご紹介する「全世界株式インデックス(オルカン)」をぜひチェックしてみてください。
2-3. 迷ったら全世界株式インデックス(オルカン)がおすすめ!
「株式に投資すると言っても、具体的にどんな商品を買えばいいの?」
投資初心者の多くが最初にぶつかる壁が「商品選び」です。
そんなときにおすすめなのが、全世界株式インデックスファンド、通称オルカン(オール・カントリー)です。
全世界株式インデックスファンドとは?
これは、世界中の株式市場にまるごと投資できる投資信託です。
具体的には、アメリカ、日本、ヨーロッパ、新興国など、数千社以上の企業に分散投資されており、1本買うだけで国際分散が完成します。
代表的な商品
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- SBI・全世界株式インデックス・ファンド
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド ほか
オルカンがおすすめな理由は?
オルカンが投資初心者の方におすすめな理由は、以下の3点です。
- 1本で世界分散が完結する
- 初心者にありがちな「どこにどれだけ投資すればいいの?」という悩みとは無縁!
- 世界経済全体の成長に合わせて、自動でバランスがとられる!
- 投資先をいちいち選ばなくていい
- 個別株や国ごとの配分を自分で考える必要がなく、手間も知識も最小限でOK
- 自動積立の設定をすれば、完全にノータッチでよい
- 長期・積立との相性が良い
- 世界経済は長期的に成長してきたという実績があり、ドルコスト平均法と組み合わせてコツコツ積立するスタイルと非常に相性が良い!
- 新NISAのつみたて投資枠を活用できるものが多い!
投資初心者にとっては、「分かりやすくて、続けやすい商品」であることが最優先。これらの点を踏まえた上で、オルカンはまさに最初の1本として理想的な選択肢だと思います。
3.積立投資の基本戦略を理解しよう

投資を始めたばかりの人にとって、一番の不安は「いつ買えばいいのか分からない」「高値づかみしたらどうしよう」といった“タイミング”の悩みです。
でも、投資の世界ではプロでも完璧にタイミングを当てることは難しいと言われています。そこで力を発揮するのが、「ドルコスト平均法(DCA)」という投資手法です。
これは、毎月一定額をコツコツと積み立てることで、価格変動のリスクを和らげる方法。相場に振り回されず、感情に左右されず、着実に資産を積み上げるための有効な手段です。
この章では、ドルコスト平均法の仕組みとメリット、一括投資との違い、自動積立の活用法について解説していきます。
3-1. ドルコスト平均法の仕組みと効果
ドルコスト平均法(DCA:Dollar-Cost Averaging)とは、株式や投資信託などを定期的に、一定額ずつ購入していく投資手法のことです。
たとえば、毎月1万円ずつ「eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)」を積み立てる、といったイメージです。
ドルコスト平均法の最大の特徴は、価格変動のリスクをやわらげるという点です。
- 価格が高いとき → 同じ金額でも少ししか買えない
- 価格が安いとき → 同じ金額でたくさん買える
これを長期的に繰り返すことで、購入価格が平均化されるため、「高値づかみ」や「一括投資での失敗」を避けることができます。
短期的<<<中長期的
相場は上がったり下がったりを繰り返します。そのたびに一喜一憂していては、精神的にも疲れてしまいますよね。
そのため、ドルコスト平均法は「短期で大きく儲けたい!」という人には向いていません。
ですが、「長期でコツコツ資産を育てたい」「将来のために備えたい」という目的には非常にマッチします。あらかじめ自動積立にしておくことで、相場を気にせず継続できるのが大きなメリット。「買うタイミングで迷うことがない」というのは、初心者にとって非常に心強いポイントです。
つみたてNISAやiDeCoとの相性も抜群。
初心者こそ、この“地味だけど堅実”な方法で、投資をスタートするのがおすすめです。
次は、そんな積立投資をどうやって無理なく継続するか?についてお話しします。
3-2. 自動積立で「継続」を習慣にする
投資は「始めること」も大切ですが、それ以上に大切なのが「続けること」です。せっかく良い商品を選んでも、途中でやめてしまっては、資産は育ちません。
そこでおすすめなのが、自動積立の設定です。
自動積立のメリットは“仕組み化”できること
自動積立を活用すれば、毎月決まった日に、決まった金額が口座から引き落とされて、投資信託が自動的に購入されます。
これにより、
- 「今月は買うの忘れてた…」がなくなる
- 相場が下がっていても、感情に左右されず淡々と投資できる
- 習慣化されるので、ストレスなく継続できる
というメリットが生まれます。
最初に設定して“あとは放置”でOK
投資に時間や手間をかけすぎると、途中で疲れてしまうこともあります。その点、自動積立は「最初に設定してしまえば、あとは基本的に何もしなくていい」仕組みです。
もちろん、半年〜1年に一度くらいは運用状況を見直すのがおすすめですが、日々の値動きに一喜一憂せず、「投資のことを忘れていられるくらい」がちょうどいいのです。
設定方法は証券会社で簡単!
主要なネット証券(楽天証券、SBI証券、マネックス証券など)では、積立NISAや通常の投資信託の自動積立設定が簡単にできます。
- 積立日
- 積立金額
- 銘柄(たとえば「eMAXIS Slim 全世界株式」など)
を選ぶだけで、数分で設定完了です。
「投資=頑張るもの」ではありません。むしろ、頑張らなくても続けられる仕組みを作ることが、投資成功への第一歩です。
次は、実際にどんな商品を選べばよいのか?そして、どうすれば投資を習慣として定着させられるのか?を見ていきましょう。
4.はじめの一歩:商品選びのコツ
ここまでで、「資産配分の考え方」や「積立のやり方」がだいぶイメージできてきたと思います。とはいえ、最後にもう一つ、重要なステップがあります。
それは「実際に何を買えばいいのか?」という商品選びです。
投資信託にはたくさんの種類がありますが、初心者のうちはシンプルでわかりやすい商品を選ぶのがポイントです。また、どんなに良い商品でも、途中でやめてしまっては意味がありません。
この章では、最初の1本としておすすめの投資信託や、投資を「無理なく続ける」ための考え方についてお伝えしていきます!
4-1. 初心者におすすめの投資信託とは?
投資信託を選ぼうとすると、何百本もの銘柄が並んでいて「結局どれがいいの?」と悩んでしまう方も多いと思います。そこで大事なのは、「初心者が失敗しにくく、長期で続けやすい」商品を選ぶことです。
その条件を満たすのが、以下のようなインデックスファンドです。
インデックスファンドがおすすめな理由
インデックスファンドとは、市場全体の動き(指数)に連動するよう設計された投資信託です。例えば「日経平均株価」や「S&P500」「全世界株価指数」などに連動するよう運用されます。
また、インデックスファンドには以下のようなメリットがあります。
インデックスファンドのメリット
- 分散投資ができる(1つだけで数百〜数千社に投資可能)
- 運用会社に支払うコスト(信託報酬)が安い
- シンプルで分かりやすい運用方針
- 長期運用に向いている
そのうえで、ここから”個人的に”おすすめなインデックスファンドをご紹介していきます!
管理人が”個人的に”おすすめするインデックスファンド
- eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
- 投資対象:全世界株式
- つみたてNISAのド定番。最大手で、実績豊富・人気No.1ファンド
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- 投資対象:アメリカの主要企業500社
- つみたてNISAにおいてオルカンと双璧をなしている、投信高成長が期待される米国集中型!
- SBI・全世界株式インデックス・ファンド
- 投資対象:全世界株式
- オルカンに比べ、信託報酬が安いのが魅力
投資経験が浅いうちは、「安心して続けられるかどうか」が何よりも大切です。
その点で、多くの人に選ばれ、実績と安定性があるオルカンは、特に初心者にとって非常に心強い選択肢です。そのため、管理人的にはオルカンがおすすめです。
もちろん、投資に慣れてきてから「もっと低コストな商品に乗り換えたい」と思えば、SBIファンドを検討するのもアリです。両者とも「全世界株式に広く分散投資できる」という点では非常に優れたファンドです。
「安心感と実績を重視するならオルカン」「コストを重視するならSBI」と覚えておくと良いでしょう。
4-2. 投資を「続ける」ためのコツ
投資で成功するためにいちばん大切なことは、「やめずに続けること」です。どんなに優れた投資信託を選んでも、途中で売ってしまえばその効果は発揮されません。
初心者が無理なく投資を続けていくためのコツ、それは、ゆるい目標を設定すること、短期的な価格変動に一喜一憂しないこと、「生活に無理のない額」で始めることの3点です。それぞれみていきましょう。
ゆるい目標を設定すること
「老後資金を2,000万円ためる」「10年後に車を買うための頭金を用意する」など、ざっくりでもいいので自分なりの目的や目標を持っておくと、投資の意味が明確になります。
ただし、あまり高すぎる目標はプレッシャーになるので、「なんとなく将来のために」といった軽めの動機からでもOKです。
短期的な価格変動に一喜一憂しない
株式や投資信託、ETFなど、どんな金融商品でも価格は日々変動します。
中には数時間、あるいは数分ごとに大きく上下するものもあり、見ているだけで不安になってしまう人も多いでしょう。
でも、そこで焦って売ってしまったり、無理に買い増したりしてしまうのは、感情に振り回された投資行動です。
これは初心者がもっともやりがちな失敗の一つです。
投資は短期的に勝ち続けるゲームではありません。
むしろ、長期的な視点で「価格は上下して当然」と割り切れるかどうかが、成功のカギになります。
おすすめは、次のようなスタンスです。
- 日々の値動きは気にしない(アプリもたまに開くくらいでOK)
- ルールを決めて投資する(10%上がったら/下がったら、利益確定/損切りする、など)
- 半年〜年1回だけポートフォリオを見直す(むやみに動かさない)
これらは、投資信託でも、個別株でも、ETFでも通用する「投資マインドセット」です。
価格の上下ではなく、自分のルールと目的に集中しましょう。
「生活に無理のない額」で始める
そして、投資を習慣にする最大のポイントは、ストレスを感じない金額で始めることです。
たとえば、毎月1万円でも、年間で12万円。10年で120万円になります。
それに加えて資産の増加があれば、将来の備えとしては十分なスタートになります。
収入が増えたら少しずつ増額していけばいいのです。最初から完璧を目指す必要はありません。
続けた人にだけが見える複利のチカラ
投資は「時間を味方につけるゲーム」です。長く続ければ続けるほど、複利の効果でお金が増えるスピードが加速していきます。
そのためにも、無理なく続けられる仕組みとマインドを身につけていきましょう。
5.まとめ

投資初心者が最初にやるべきことは、特別な知識やテクニックではありません。大切なのは、「長く続けるためのシンプルな仕組み」をつくることです。
この記事で紹介した内容を、もう一度振り返ってみましょう。
- ポートフォリオを意識して、自分に合った資産配分を考える
- 迷ったら「全世界株式インデックス(オルカン)」など、分散された投資信託を選ぶ
- 相場に振り回されないよう、ドルコスト平均法で自動積立を活用する
- 投資は「短期で勝つ」ものではなく、コツコツ積み上げる長期戦
- 続けるためには、無理せず、感情に左右されず、生活に溶け込ませることが大切
投資は「才能」ではなく「習慣」です。
今すぐ完璧になる必要はありません。「分からないことがあっても、とにかく始めてみる」ことが、何よりの一歩です。
これからも、自分のペースで、コツコツとお金を育てていきましょう。
「未来の自分」に感謝される日が、きっとやってきます。